血液検査の検査項目
血液は血管の中をめぐり、体のすみずみに栄養や酸素などを送り届ける役割があります。
血液検査では、その血液に含まれている抗体などを数値化して、病気の診断やリスクを見つけることができます。
主に、貧血、肝臓・腎臓の異常、高脂血症、糖尿病などの病気が分かります。
生活習慣病の中には、自覚症状が現れる前に病気が進行してしまっているものもあるため、早期にリスクを知ることで、生活習慣の改善や予防に役立てることができます。
検査項目 | 基準値 | 要注意 | 考えられる病気 | |
---|---|---|---|---|
糖代謝系検査 | 空腹時血糖値 (mg/dL) |
99以下 | 126以上 | ↑糖尿病、膵臓がん、ホルモン異常 |
HbA1c (%) |
5.5以下 | 6.5以上 | ↑糖尿病 | |
肝臓系検査 | 総タンパク (g/dL) |
6.5~7.9 | 8.0~8.3 | ↑多発性骨髄腫、慢性炎症、脱水 ↓栄養障害、ネフローゼ症候群、がん |
アルブミン (g/dL) |
3.9以上 | 3.7~3.8 | ↓肝臓障害、栄養不足、ネフローゼ症候群 | |
AST(GOT) (U/L) |
30以上 | 31~50 | ↑急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、肝臓がん、アルコール性肝炎 | |
ALT(GPT) (U/L) |
30以上 | 31~50 | ↑急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、肝臓がん、アルコール性肝炎 | |
γ-GTP (U/L) |
50以下 | 51~100 | ↑アルコール性肝障害・脂肪肝・胆道系の病気 | |
ALP (IU/L) |
109~321 | – | ↑肝炎、閉塞性黄疸、悪性腫瘍 | |
総ビリルビン (mg/dL) |
0.3~1.2 | – | ↑黄疸、溶血性貧血、肝硬変、肝臓がん | 腎臓系検査 | クレアチニン (mg/dL) |
男性:1.00以下 女性:0.70以下 |
男性:1.01~1.29 女性:0.71~0.99 |
↑腎機能低下 | 血中尿素窒素(BUN) (mg/dL) |
20以下 | 21~230 | ↑腎機能低下、たんぱく質の摂りすぎ | eGFR (mL/分/1.73㎡) |
60.0以上 | 45.0~59.9 | ↑腎機能低下 | 尿酸 | 尿酸値(UA) (mg/dL) |
2.1~7.0 | 7.1~8.9 | ↑高尿酸血症 (高い状態が続くと、痛風発作や尿路結石につながる) |
脂質系検査 | 中性脂肪 (mg/dL) |
150未満 | 150~499 | ↑脂質異常症(高脂血症)、動脈硬化 ↓低栄養 |
HDLコレステロール (mg/dL) |
40以上 | 30~39 | ↓脂質代謝異常、動脈硬化 | LDLコレステロール (mg/dL) |
120未満 | 59以下 120~179 |
↑動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞 | 総コレステロール (mg/dL) |
120~220 | 29以下 150~499 |
↑高コレステロール血症 | 赤血球系検査 | 赤血球 (104/μL) |
男性:400~539 女性:360~489 |
基準値と同値 | ↑多血、喫煙、ストレス、脱水状態 ↓貧血 |
白血球 (104/μL) |
3.1~8.4 | 8.5~9.9 | ↑細菌性感染症、炎症、腫瘍の疑い ↓再生不良性貧血、感染症 |
ヘモグロビン (g/dL) |
男性:14.0~18.0 女性:12.0~16.0 |
男性:12.1~13.0 16.4~18.0 女性:11.1~12.0 14.6~16.0 |
↓貧血 | ヘマトクリット (%) |
男性:38.5~48.9 女性:35.5~43.9 |
基準値と同値 | ↓貧血 |
血液検査以外の主な検査内容
腫瘍マーカー
腫瘍マーカーとは、がん細胞の存在を示す目印(マーカー)になる物質の総称で、採血や採尿で検査することができます。
がん細胞が作る物質が増えたときにがんの存在を疑います。
この目印となる物質が血液中にどれだけ含まれているかを測定し、がんのスクリーニング(ふるい分け)検査としても用いられています。
ただし、生活習慣や服用している薬、加齢などの影響も受けるため、腫瘍マーカーが高値であってもがんであるとは限りません。
腫瘍マーカーの値だけでは確定できないため、他の検査結果と合わせて医師が総合的に判断します。
胸部X線
胸部X線は、胸部にある臓器(主に肺・心臓・大動脈などの呼吸器、循環器)に異常がないかを調べる検査です。
肺結核や肺炎などの炎症、肺がん、肺気腫などの疾病を見つけることができます。
X線は放射線を使用していますが、ほとんど影響のない程度です。
しかし、妊娠中や妊娠の可能性がある場合は、胎児への影響が心配されるので、受診前に医師へ申し出ましょう。
食道・胃内視鏡検査
食道・胃内視鏡検査は、内視鏡(ビデオスコープ)を使用して、食道・胃・十二指腸といった上部消化管を内側から直接観察する検査です。
がんなどの病気があった場合には、さらに病気の大きさや深さなどを診断します。
大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査は、内視鏡(ビデオスコープ)で直腸から盲腸までの大腸全体の内部を調べる検査です。
がんやポリープなどが見つかった場合は、病変表面の模様などを観察して、より細かい診断を行います。